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夕暮れ時の通勤帰りの人ごみを抜けて、地下鉄「澄川駅」からほんの少し中小路に入ると、こだわりの鶏料理店「きとりや」の看板があらわれる。

ジャズのBGMが流れる店内と、陽が落ちると浮かび上がる庭の幻想的な照明が、大人の隠れ家という言葉にぴったりの店だ。


徐々におこってくる炭火をカウンターのガラス越しに眺めながらいただくのは「きとりや」名物の『みぞれ酒』。
凍らせたグラスに注いだとたんにシャーベット状になる不思議な日本酒は、どれだけ器を冷やしておくかが大きなポイントになるらしい。 「小さい店だからこそ目のゆきとどく、こんなサービスを味わってもらいたい。」というのが店主のこだわり。


カウンターの後ろにずらりと並ぶ陶器の皿の数々は、料理との相性を見極めて集められた美濃焼きや札幌の作家のものが中心だ。 ざらりとした手触りと素朴な質感が繊細な料理をますます引き立ててくれる。


白い釉薬の施された大皿と共に運ばれてきた『伊達鳥の炭火焼』は脂肪が少なく弾力があり、かみ締めると甘みと旨みが口に広がる。





夏には皮ごと豪快に蒸し焼きにしたとうもろこしを客の目の前で皮をはぎ、切り分けるなどのパフォーマンスもあり、料理や店内のあちらこちらにひとひねりされた「きとりや」ならではのセンスが溢れている。

さりげなく目にとまる手作りのはし置き。
キキョウ、梅、桜、水芭蕉・・・四季折々の花々のモチーフが思わず手にとってしまう可愛らしさ。

「気に入ってもらえたら自由に持ち帰って良いんですよ。」
という店主の言葉に、連れと二人で(ちょっぴり時期はずれの)<水芭蕉>と秋の七草<キキョウ>を選んで嬉々として店をでた。我が家の食卓にもちょっぴり秋の装いが増すだろうか・・
こんな心憎い演出に、また訪れたくなる店…それが「きとりや」の魅力に違いない。

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