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まずはメンマをみて驚いた。
「メンマは大きな塊を買って、二日かかりで塩ぬきをします。一つ一つ手切りをし、トンコツスープで煮込みます。それをラードで炒めて焦げ目をつけてやっと出来上がり。手間はかかるけど、香ばしさと歯ごたえが普通の塩メンマとは全く違います。」
「知り合いがラーメン屋を開店する際、仕込みだけ手伝ってくれと言われて、手伝っているうちに気がついたら自分がラーメンの世界にはまってしまった。」
「自分だったら、こんなラーメンをつくりたい。
そんな店主の思いをぎっしりと詰め込んだ店が、この『一幕』だ。

『一幕』では豚骨と鶏ガラ、2種類のスープを味わうことができる。
「とんこつは鹿児島の黒豚の骨を、特別に仕入れて使っています。なので臭みが一切ありません。鶏がらは肉がまだ部分的に残っているものを使います。若干値ははりますがスープのう旨みとコクががまったく違うから。」
それでは・・・ということで、私は人気のある鶏がらの塩ラーメンをいただいた。
黄金色のスープが澄んでいる。立ち上る湯気と共に上質のコクのあるブイヨンの香りがただよう。
「これは絶対に美味しいに決まっている。」口に運ばずとも想像がついた。
一口いただくと、舌にしっかりと乗るヴォリューム感がある。スッキリとしているのにコクがあって、味覚を過不足無く満たしてくれる。「滋味あふれる」という言葉がぴったりだ。
麺はハルユタカ、チホク、トヨホロの三種類をブレンドしている。
しっかりと熟成されており、透き通ったコシのある舌ざわりだ。
定番の煮卵は、半熟でやわらかく仕上げられており
厚切りのチャーシューは赤実と脂身とが程よく交じり合って、とろけるように柔らかく、一枚で十分の満足感がある。
更に塩ラーメンには、岩のりが使われており、磯の香りがよく麺に絡まって塩味にぴったりだ。
薬味も胡椒もいれたくないなぁ。と思った。
良質の骨を惜しげもなく使って、染み出したしみじみとしたピュアな旨みを味わいたい。


先日オーストラリアの男性とラーメンを食べに行ったところ、彼は丼を口もとに運び完璧に最後の一口までスープを飲み干した。
欧米ではラーメンはスープとみなされているらしい。だから完食してあたりまえなのだ。
その行為がどこか不健康と感じていた私は彼に少し驚いたが、『一幕』のラーメンを食べていると、その気持ちが一掃された。
この滋養の溶け出したスープなら、優しく体のすみずみまでに染みわたって、とても元気になれるに違いない。
素材の良さを引き出すことに、とことんこだわりを感じさせる店であった。
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