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都会っ子IN田舎 PART2
2007年11月8日
秋の野山に流れている小川に枯葉の香りに混じって異臭が立ち込める。

「兵どもが夢の跡」

秋鮭は自分達が生まれた川を目指し、また子孫を残すために流れに逆らい力尽きていた。
白く変色し傷だらけの身体は、忘れている、生きる強さを感じさせた。

札幌市内から車で1時間半、イルミネーションに彩られた
工業地帯を横目にしながら北日本最大級の橋、白鳥大橋を渡り伊達市に向かった。

天気予報は雨、湿度が甘い枯葉の匂いを一層たたせる。
今回の仕事は難航しそうだ、任務を速やかに遂行しなくてはいけない。
ミッションは・・・・。

大根、キャベツ、白菜。

腹ごしらえをしながら作戦会議。
白飯、葱の味噌汁、椎茸のソテー、鮭の切り身にいくらの醤油漬け。

秋の北海道を食卓の上に乗せたような朝飯。
初めてお邪魔した家でおかわりをせがんでしまう。
田舎の朝ごはんは何故か旨い。

車で数分走ると地平線いっぱいに緑が敷き詰められた畑が広がる。
好きな所から、好きなだけ持っていけとの事、死ぬほどとってやる!
後悔しても知らないぞと思いながら、畑に入る。地平線いっぱいに大根が埋まっている。
僕はただひたすらに大根を抜き続けた。

地中から出ている白く美しい大根はシンクロナイズドスイミングを思わせた。
地平線いっぱいでのシンクロ、何万本の白い足が僕を魅了する。
妄想が止まらない。

すかさず「早くしなさい!」と激が飛ぶ。
200本は抜いただろうか、たかが畳3畳ほど、地平線の上では無力な自分に汗を拭う。
またも自分の愚かさにしばし呆然とした。

何事にも謙虚な気持ちが大切なのを毎度のことながら痛感する。

車に乗り込みキャベツ畑に向かうが、目的地までは5分位かかる。
白菜も然り、一つ一つの畑が何故か離れているのに気が付いた。
考える間を与えないかの如く雷が近づいている、時間が無い。
急いで収穫を終わらせる。

何処の農村も離農が問題になっているようだ。
先ほど気になった大根畑とキャベツ畑が離れているのもそこが原因の一つである。

空いた畑を借りたり、買ったりすることで点々と畑が広がるが、
後継者は居らず、政府からは生産調整を命ぜられ、
転作するにも手が足りないと、悪循環になっているのが現状なのであろう。

温暖化が進む昨今、これからの北海道は
今までよりも作ることの出来る作物が多くなると僕は思った。
日本全体の食料自給率は40%に対して北海道だけでみると200%にもなる。

しかし、営農労働者の半分が65歳以上と
高齢化が進んでいるのも目を向けなくてはいけない現状の一つである。

家で閉じこもっているのも職業のように言われている今だが、
僕たち若者がこれからの第一次産業にもっと目を向けなければ
美味しいと思う野菜は日本の物じゃなくなっている、という日も遠い話ではないのではなかろうか。


帰路につく大きいランクルの後部座席は大根とキャベツと白菜でさんざめいている。
キャベツ達が寄り添いながら車に揺られると
「キュッ、キュッ」と年頃の女の子がじゃれあっているようだ。


どう料理してくれようとほくそえむ僕がいた。





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