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追憶『第5章』
2010年10月27日
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第4章からの続き

私はその日仕事が入っていたが、
どうしても会いたいという気持ちをシェフに伝え、
半日休みを頂き先生と食事をした。

数年振りの再会に、心も躍り、
先生が中国でどんな生活を送っていたのか、
私の仕事の苦労話やら、いろんなことを語り合い、
とても楽しい時間を過ごすことができた。

話しの終盤に先生の口から
私のコラムについての話しがでた。

そこで私はどうしても話したかった、
高校時代の一つの小さなエピソードについて話しだした。

「先生は覚えてないかもしれませんが、
文章を書くにあたって、すごく感謝している事があります。
新入生の為にクラブ活動の紹介文を書いておいてくれと先生に言われた時です。

私は他のクラブの紹介文を参考に、当たり障りのない内容を書いて提出しました。
一読した先生は私に、「なんか面白くないな。」、と言って返したんです。

別に反感も悔しいも何もなく、自分でも確かに面白くはないなと思いました。
私は転校が多かった為、友達に面白おかしく手紙を書くのが好きだったので、
じゃあ、そのような感じで書いてみようと、最初の文章とは真逆のものを提出しました。
また返されたら、また別のを書けばいいやと思いつつ。

でも、先生に、「これ面白いな。お前こんな文章も書けるんだな。」って言われたんです。
多分、他の先生だったら最初に提出したものを受け取ってくれていたと思うんです。

それまで、手紙を書く以外、文章を書くからには読み手がいるなんて
意識したこともなかったし、学校の授業での作文や感想文なんかも、
生徒の義務みたいな感じで書いていたので、先生とのやり取りで、
読む人を引き付けなければいけないということを考えるようになりました。

その日をきっかけに、自分の文章は随分変わりました。
だからコラムの依頼がきた時に一番最初に先生に読んで欲しかったんです。」

と熱く語った。

先生は、「あーそんな事あったんだっけ〜」と、
「忘れていて悪かったかな」とでも言いたげな照れ笑いを浮かべながら語りだした。

「僕はね、コラムを送ってもらった時、
どれ、添削してやるぞって思って張り切って読んだんだ。
いつも中国人の人達の文章を添削していたからね。

でも送られてきた二つの文章を読ませてもらって、「えっ?」て思ったの。
直す所が見つからないの。

これは、本当に僕の手を離れたんだという、一抹の寂しさと、
早くに両親を亡くした、あなたの苦労して歩んできた人生を思ってね。

本当の意味で巣立ったんだなと思ったんだよ。
だから寂しさと嬉しさが入り混じったような、そんな感じだったんだ。」

メールで送られてきた2行の真意がやっと理解できた。
先生は私の事を本当に弟子のように思ってくれていたに違いない。
私はそれに全く気付いていなかった。

そして、今、先生と生徒ではなく、
一人の大人として対等に私を見てくれているのだと実感した。


私は先生が帰った後、先生の思いを胸に涙が止まらなかった。

ひとしきり泣いた後、自分の働くレストランで食事をして良かったな…とふと思う。
泣くには最高の場所であった。


先生に感謝の気持ちを込めて筆をおこう。




さて、私はいつもコラムを書き終えると
ネットで配信される前に必ず先生にメールで送るのだが、
今回このコラムに限って、送信ボタンを押す指がためらわれているのは…何故だろう。


かやの茶屋 ビストロ北海道
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【ランチ】(水・木定休)12:00〜15:00
【ディナー】17:30〜22:00
【ケーキ・カフェ・雑貨】12:00〜20:00
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