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追憶『第4章』
2010年9月27日
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第3章からの続き

学校を卒業して以来十年以上、文章なんて書いてはいない。

シェフには「北海道の『食』について書け。」と言われたが、
シェフ自身、散々『食』について書いていたので、
私なりに北海道に関する何か全く違う題材を選びたかった。

あまり自信は無かったが、
レストランのコミュニティだし一回くらいなら書けるだろうか、
というちょっとした遊び心も手伝い書いてみる事にした。

と、丁寧に説明するなら上記でいいのだが、実際の私の言動は違った。
「そんなぁ、文章なんてしばらく書いてないし、私には書けません。」
と言った次の日には書いてシェフに提出していた。

家に帰ってから、「書けません。」といった自分に悔しさが沸き起こり、
物凄い勢いで書き始めたのだ。

久しぶりに書く文章は意外と楽しかった。

軽い気持ちで書いたそのコラム『フィルムズ』が
インターネットの会社の方の目に留まり、
私の所へコラムの連載の依頼が届いてしまった。

もちろん仕事上の付き合いで声をかけて頂いたのかもしれない。
ただ、正直言ってこんなに嬉しいことはなかった。
自分の文章が評価されたのだ。

自分を表現できる場所が生まれた事に興奮した。

しかしながら、ネットで配信される訳である。
誰が読むのかわからない。

言論の自由と言いつつも、改めて文章を書く事、
全世界に読み手がいるという事に対する
途方もない難しさに遭遇し、不安が募った。

そして仕事との両立が懸念されつつも、
1年も悩んだ末になんとか引き受けることを決断した。

そこで、このことを一番に伝えたかったのは先生だ。
先生は中国から帰って来ているだろうか?

先生と共通の知り合いに早速連絡をとってみると、
思いもかけない情報が飛び込んできた。

中国で倒れ、向こうではいい治療ができない為
日本に帰って来ているというのだ。

私は慌てふためき、すぐ先生の自宅に電話をした。
電話に出たのは先生だった。

あぁ先生の声が聞けてよかった。
脳内出血で、あと数ミリ場所が違ったら危なかったそうなのだ。

私は胸を撫で下ろし、「実はお話があるのですが…」と切り出した。
先生はすかさず「結婚するのか?」と聞いてきた。

私が「話しがある」と言うと、だいたいの人達がこんな反応をする。
何の反撃もできない自分が不甲斐ない…

私は事の顛末を全て話し、
先生にコラムを読んでみて欲しいとお願いした。

先生も喜んでくれたので、ネットで配信される前に
原稿が先生の手元に届くように張り切って速達で出しに行った。
すると早速先生からの感想がメールで送られてきた。

それがこの文である。

「巣立ったひな鳥のこの世を天空より俯瞰した都会の風を感じさせる文でした。
これからはあなたの気持ちを読み手にどんどん伝えていくことでしょう。」

パソコンのメールにしてたった2行。

先生の性格からして、いろいろと添削あるいはアドバイス等、
とにかく沢山の何かを言われるのではないかという
期待と不安があったので、少々面食らった。

正直に言うならば、
私は先生から沢山の助言が欲しかったのだ。

私はその2行を何度も何度も読み返した。
何度も何度も。

その2行を繰り返し読むうち、
自分にはまだまだ先生の足元にも及ばないのだと実感すると共に、
その真意をどう受け止めたらよいのかが全然わからなかった。
その2行にしばらく悩む羽目になったのである。

褒められたのか、はたまた、社交辞令なのか、それすらも判断しかねた。
しかし「どういう意味ですか?」なんて聞けやしない
愚かしいプライドが頭をもたげた。


それから数カ月たったある日、先生から電話がきた。

9月に札幌の病院で検査をするから、
そのあと時間があれば一緒に食事でもしないかという内容だった・・・


・・・第5章に続く


かやの茶屋 ビストロ北海道
ここ“かやの茶屋 ビストロ北海道”には美味しさは楽しさから、楽しさは美味しさから ・・そんな想いが詰まっています。 特別な日にはもちろんのこと、仲間、家族、恋人と過ごすひと時に、より満足して頂けるエンターテイメントな空間でありたい・・・ 詳細はこちら
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