あなぐら
2007年11月30日
少し遅めの起床。鼻の頭に冬を感じた。
ブラインドを開けると白鳥の羽根が空から舞い降りているようで、
向かいの空き地は真っ白に敷き詰められている。

眠りのトンネルをぬけるとそこは雪国だった。
初雪はいくつになっても心が躍る。
後の雪かき地獄は度外視だ。
薄暗い朝、寒く冷え切った部屋。
冬期間の恋人はいつもよりギリギリまで、
そしていつもより寄り添いながら互いの温もりを再確認しあうのだろうか。
いつの間にかこいつも腹が据わっちまったなと
夢現に寒さ耐えかね肉厚な彼女の腹にしがみつき、暖をとるが肉は取れない。
北海道の冬は始まったばかりだ。
数年前の冬、東京から来た友人と同居していた友人と
かまくらを作った事を思い出した。
弁当とコンロ、鍋、焼酎をもって山に入った。
完全防備をし、腰まであろう雪の中を掻き分け
時折スコップで道を作りながらかまくらスポットを探し歩き続ける。
灰色の空に浮き出るように白く染まった札幌の街並みがとても美しかった。
半径2m位の円を作り高さ1m50cm位まで雪を積む。
そこまで積んだ雪をまた踏み固め同じ作業を何度となく繰り返す。
3時間ほどかかっただろうか、やっと雪山が完成する。
スコップで叩き形を整え中に入る為の穴を掘る。
男達は穴という響きだけで一体感が生まれる、穴に入るために掘る。
永遠のテーマだ。
丁寧に、そしてやさしく、時には大胆に掘り進める。
内側を撫でながら奥に奥にと掘り進め男3人が入れる位のかまくらが出来た。
神棚を作り焼酎とみかんを供えてはみたが、何を祭っているかは疑問が残る。
宴が始まったのは日が暮れて七時位になっていただろうか。
中に入ると実生活では中々感じられない音を耳にできる。

色も形もない空気の音が「・・・・・」と耳をなでる。
鍋にその辺の雪を入れて作った焼酎のお湯割りと、
雪のオンザロックで酒盛りが始まった。
山でも平地でもやることは変わらない。
密接した男3人はオリオン座を酒の肴に尽きる事無く話続けた。
かまくら、そもそも「神座(かみくら)」が語源らしく
豊作祈願と水神様の祭りとしての行事らしいのだが、
小さい頃から何気なく作っていただけに祈願等の実感はない。
何よりも、家族で1つのかまくらを作り、
小さな穴の中で過ごした時間は絆として忘れられない想い出になり、
次の世代に受け継がれていくとよいなと思う。
凍てつく寒さは時に寂しさを感じさせる。

しかし北海道の冬は全国で一番、
恋人たちの仲が良い季節と思ってはどうだろうか。
寒さをしのぐために、温かい飲み物で手を温めあい
寄り添って歩く姿はまさに「白い恋人」である。