夢の国家
2007年9月13日
お店に小学校の時の後輩が遊びに来てくれた。
突然の来店に驚きを隠せなかった。
ニヤニヤしながら僕の姿をみて、おもむろに取り出した小汚い紙、なんだろうと中を見てみると、
小学校3年生の時に校庭に埋めたタイムマシンに入れた将来の僕の未来予想図。
嫌な汗がにじみ、顔が赤唐辛子のように赤くなった。
『
「将来の夢」
3年1組 いちかわ たけひさ
ぼくはしょうらい、科学者になってユニコーンや人魚をつくったりして夢の国を作りたい。
』
マッドサイエンティストになり遺伝子操作をし、国家を設立したかったのか・・・。
危険分子だったのだな、更生出来てよかった。
その夜は昔話に花が咲き小学生の頃に戻った気分でいた。
僕はもうすぐ30歳、彼女はあんなに小さかったのにもう25歳。

時間はマッドサイエンティストも更生させる力があるのだな。
やんちゃだった少女を綺麗なレディにさせる事ができるのだな。
彼女を送り出し、帰路をいつもよりゆっくりと歩いた。
子供の僕は何でそんな世界を作りたかったのかなと考えながら、
ポタポタ歩きながら通学途中のあの頃に戻ってみた。
あの時の僕は危険分子ではなく、
自分の手で空想の世界を具現化しみんなを喜ばせたかったのだな。
みんなの笑顔を見たかったのだな。
いい奴だな。
タイムカプセルを埋めてから22年が経った。
予定では科学者になって、今頃動物愛護団体から訴えられ莫大な裁判費用に苦しめられ、
危険国家の総書記として国際指名手配されていたかもしれない。

しかし、現状はレストランの雇われ店長をしている。
科学者でもなく、総書記にもなれなかったが、一つだけ叶ったことがある。
夢の動物、夢の国家は実現できなかったが、南円山の住宅街で
夢のような美味しい料理と美味しいお酒を作り出す小さなお店で偉そうにしている。
みんなを喜ばせたいという気持ちは22年経った僕の未来予想図の通りだな。