もやしっ子IN田舎
2007年5月26日
泥にまみれ、汗をかき、腰の痛みに耐えてはじめて気づかされる事があった。
僕の店の近くに、有機野菜や無農薬野菜を取り扱う店がある。 札幌市内でも少なくは無いだろう。
一生活者の立場から何も知らず普段使っている野菜について勝手な事を考えていた。
「野菜は無農薬がいい。有機野菜は安心だ。」
間違ってはいない。
しかし北海道、もしくは日本の自給率を高めていく上で、
この台詞はあまりにも無責任で、閉鎖的な考えなのかもしれない。
高速バスで3時間、道北にある、人口5234人の町がある。
主な農作物はもち米で収穫量は北海道で一番である。
この時期になるとビニールハウスには、ところ狭しともち米の苗を発芽させ、
田んぼに水をはり、苗を植える準備がはじまっている。
後継者は相変わらず多くはないようだが、
近年は若い生産者が趣向をこらした新しい農業も盛んになりつつあるようだ。
少人数での生産、広大な土地、日々生きている植物。
自然の気まぐれと日々闘い、たくましく、大地を誰よりも理解している人々がそこにいる。

稲作が始まる前の短い期間を使ってアスパラ栽培をする農家もある。
全長100メートルはあろうかと思われるビニールハウス。
中は湿度が高く息が苦しく、
等間隔に植えられた五列あるアスパラを手作業で収穫していく。
アスパラは数時間でものすごい成長を見せ、
朝の収穫で土から頭を出していた位のものが、
午後の収穫では20センチ位にもなる。
60歳になる夫婦はそれを毎日繰り返す。
25センチに達したものだけを、腰をかがめ、汗をかき、
泥にまみれ時期が来るまで繰り返し、自らの手で選別をし、長いものは切り落とす。
赤みがかかったり曲がったアスパラは見た目が悪いと買い取ってもらえない。
もちろん味は変わらない。
私たちが生活の為に日々働き、何かを購入する時に生産者の様子を思い浮かべた事はあっただろうか?
確かに無農薬は安心である。しかし、生産者は「農薬使わなかったから失敗しちゃった!」ではすまないのである。
今の僕にはこの問題をどうしていけばいいのか正直答えが見つからない。
しかし、この事に気付き考える事が出来た事にこれからの北海道の未来があるのではないかと思った。
今一度冷蔵庫に眠っている野菜たちをみて皆さんが何かを感じてくれたらなと思う。
60歳を過ぎた夫婦は来年僕の父と母になる。
1日しか手伝えなかったが、大きな影響を与えてくれた事に心より感謝と敬意の気持ちでいっぱいである。
時間の許す限り手伝わせてもらいたいと思った。