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コラムインデックスPHOTO POEM>アンジュール

春の雪は 決して積もることなく
はかない夢のようで
雨にもなれず 雪にもなれず
ましてや花びらになることは出来ない

春の雪は風に吹かれて 
ためらいがちに落ちていく

ひとひらの花びらのように
水溜りに漂うことも 許されないなら
影だけを残して 消えて行きましょう
春の予感と 憧れの中で

アンジュール
2008年4月10日
車の中から 今まさに捨てられようとしている犬
その犬の名は アンジュール

最初にその絵本の1ページを開いた時、脳裏に甦ったのは
小学校2年の時の引越しで置き去りにしてきた、
飼い犬のシロだった。

両親は十勝の鹿追町 西上幌内で、農業をしていたが、
借りていた土地の借金がいつまでも返済出来ずに、
借金を抱えたまま離農をして鹿追町の中心部に引越しを決めたのだ。

今は亡き父は、その土地を開拓する為に大変な苦労をしたらしい。
母も赤ん坊の私を畑の脇に寝かし、授乳をしながらの畑仕事だったと言う。

多くを語らなかった父の口からは苦労話など一度も聞く事はなかった。
家畜を手放し、離農をして違う仕事をする事も、
人付き合いの苦手な父にとっては不安で一杯だったに違いない。


子供の私には親をおもいやるキャパシティはなかった。


私たち家族の車を追いかけて、
少しずつ小さくなり、やがてシロは力尽きて見えなくなった。

後部座席で後ろを振り返りながら、
大人の無情さと、自分の無力さにうなだれた。

さまようシロの姿は、
絵本の中のアンジュールと一体化し、動きだし、走る。


そして哀しみ、さすらう。

哀しみは遠吠えに変わる。

そして最後は・・・。

色々な想いが交差しながら、この本を閉じた。



絵本作家 ガブリエル バンサン作
‘アンジュール ある犬の物語’(1986)   リンク >>

1928年生まれブリュッセル生まれ
53歳で初めて絵本を出してその後も沢山の本を出す。



言葉は一言もないけれど、
アンジュールの表情や姿だけで、ずんずんと迫ってくるものがある。
色も言葉もなく、デッサンだけでこれほど感動を覚える物語があるだろうか。



ガブリエル バンサンの絵本は読む者の心に柔らかな光を差し込ませる
少しずつ 指先でシャドウデッサンをぼかすように